房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

柴の道切り'21

和田町の国道一二八号に架かる花園橋の欄干に、稲わらで作った大蛇が大きな口を開けて西方を睨み、もう一つの蟹田橋の欄干にも、やはり稲わらの大蛇が東方を睨んでいます。これは昔から伝わる「道切り」という習俗で、二匹の稲わらの大蛇が、柴の集落に病魔や邪悪な鬼が侵入しようとすれば、呑み込もうとしているのです。この柴の習俗は江戸時代から続いているようですが、稲わらの大蛇は橋の近くに住む年輩の人たちが節分(一月二八日)に作り、集落の境を流れる川の橋に掛けるのです。稲わらの大蛇は丁寧に作られており、大きく開く口の中には、先が割れた蛇の舌まで赤い唐辛子を使い作ってあります。稲わらの大蛇とは言え、長く続けているので霊力があり、本当に病魔や角のある鬼を呑み込む、と土地の人たちは誰もが信じていますから、いつの頃からか、珍しい風習が生まれました。文金高島田の花嫁が大蛇の前を通るときは、大蛇に鬼のような角がないことを見せるため、角隠しを外して通り、そして大蛇から離れると、外した角隠しを掛け直すのです。《広報みなみぼうそう 2012 No.77》

柴の道切り
令和三年一月三〇日


疫病蔓延渦中により、制作奉納が行われる当日(一月二八日)の見学は感染防止の観点から遠慮し、奉納現場に設置された、藁蛇を撮影しに行った。今年の藁蛇は、鼻先に長い飾りが増えており、「ヘビの長い舌」の様にも見える。また、奉納されてから、数日が立っており強風などにより、「枇杷の耳」が取れてしまっている。祈願の板も疫病退散に関連する文字が見受けられる。

◎駐車について
大蛇作りは「柴区集会所」付近の個人宅で作られています。駐車は「花の広場公園 花夢花夢」もしくは、「柴区集会所」の駐車場(避難場所)に駐車して、サイロを目印に歩いて行くと、焚火が行われており、そこの元牛舎の場所で作られます。藁蛇作りが終わると二組に分かれて、軽トラで移動しますので、追跡取材するか先回りして待機して下さい。北側〔花園橋→長者川橋〕、南側〔ガードレール上→蟹田橋〕辻飾りの作業が終わると、集会所で直会が行われます。

奉納日:毎年一月二八日 09:00-12:00
伝承地:千葉県南房総市和田町柴281 柴区集会所(付近の個人宅)[和田町の綱吊りマップ]