房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

柴の道切り'14

和田町の国道一二八号に架かる花園橋の欄干に、稲わらで作った大蛇が大きな口を開けて西方を睨み、もう一つの蟹田橋の欄干にも、やはり稲わらの大蛇が東方を睨んでいます。これは昔から伝わる「道切り」という習俗で、二匹の稲わらの大蛇が、柴の集落に病魔や邪悪な鬼が侵入しようとすれば、呑み込もうとしているのです。この柴の習俗は江戸時代から続いているようですが、稲わらの大蛇は橋の近くに住む年輩の人たちが節分(一月二八日)に作り、集落の境を流れる川の橋に掛けるのです。稲わらの大蛇は丁寧に作られており、大きく開く口の中には、先が割れた蛇の舌まで赤い唐辛子を使い作ってあります。稲わらの大蛇とは言え、長く続けているので霊力があり、本当に病魔や角のある鬼を呑み込む、と土地の人たちは誰もが信じていますから、いつの頃からか、珍しい風習が生まれました。文金高島田の花嫁が大蛇の前を通るときは、大蛇に鬼のような角がないことを見せるため、角隠しを外して通り、そして大蛇から離れると、外した角隠しを掛け直すのです。《広報みなみぼうそう 2012 No.77》

柴の道切り

Nikon D800 + AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED

柴区の藁蛇を作る時期は確認していないが、蛇の状態からすると、一月下旬から二月上旬頃に作られたのだろうか。

奉納日:毎年一月二八日 09:00-12:00
伝承地:千葉県南房総市和田町柴281 柴区集会所(付近の個人宅)[和田町の綱吊りマップ]