房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

久留里大和田の雹除け'21

久留里大和田地区の菅原神社で、初天神(はつてんじん)の日(一月二五日)に作られます。これは、鳥居のしめ縄の交換と一緒に行われるものです。ヒョウヨケを設置する場所は、久留里市場との境と、向郷(むかいごう)との境の道の脇です。ヒョウヨケはお飾り藁で作っています。藁の束をひねり、Uの字に固め、それを三つ束ねて縛ります。先端を切りそろえたら杉葉を挿し、それが上部になります。下部には神社からいただいたシデ(紙垂/四手)を四枚付けます。《久留里城址資料館 令和二年度企画展「疫病ときみつの信仰 −道切りを中心に−」》

久留里大和田の雹除け
令和三年一月三一日


疫病感染予防の観点から、奉納される当日の作業見学は遠慮し、設置された現場を取材しに行って来た。資料によると、一月二五日に奉納作業が行われると書いてある。取材当日の状態を見ると、杉葉も青く紙垂の状態も良く最近設置されたと思われる。

◆雹除け【ヒョウヨケ】
雹(ひょう)は夏の発達した積乱雲の中で発生する5ミリ以上の氷の塊で、農作物や人畜に被害を与えます。こうした自然災害もまた、悪霊や鬼などがもたらすと考えられ、関東各地で「雹嵐除け」「雹まつり」などが、四月を中心に行われてきました。市域では一月に、神社での新年最初の縁日や会合で実施されます。小櫃川上流域では主に「雹除け」の名で、三ヵ所で伝承されています。雹除けは、酒樽(さかだる)に見立てた藁の作り物に杉葉をさし、竹の先に刺して屋外に立てます。三地区で、名称や形、設置場所や意味合いなどが多少違っていますが、道切りの意味を伴っているものが見られます。高水では、作り物を堂に設置すると同時に、綱を村境に設置し、綱は道切りの意味で行うといいます。久留里大和田では作り物自体を村境に設置します。この作り物を伴う雹除けが確認されているのは、旧川越藩の上総分領の範囲です。《久留里城址資料館 令和二年度企画展「疫病ときみつの信仰 −道切りを中心に−」》

※駐車について
小櫃川雨城橋のたもとにある、雹除けは「福徳山正源寺」の駐車場に止めて歩いて行けば安全です。天神社前丁字路にある雹除けは、周辺に駐車可能なスペースは少なく、作業日でなければ、天神社前に若干の駐車可能な場所がありますので、そこに止めて下さい。

奉納日:一月二五日
伝承地:千葉県君津市向郷669-1 天神社(菅原神社)