房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

坂畑の雹除け'21

一月の第三日曜日に、新年御祈祷を行い、それにあわせてしめ縄をかけ、初神楽を奉納した後、雹除けを自治会館前に設置します。『上総文化第10号』1983年によれば、「二〇〇年前に雹の被害があったため、各戸ごとに藁で酒樽の形を作り、中心に杉の葉を挿して神棚に上げ、豊作を祈願した。一〇〇年前には地区の行事としてまとめて行うようになった。一月十八日に神前に供え、神官が祈祷して『災害除け』や『家運隆盛』などを祈願した」という旨の記事があります。※坂畑では、設置する場所や実施する目的に、道切りの意味は見られません。《久留里城址資料館 令和二年度企画展「疫病ときみつの信仰 −道切りを中心に−」》

坂畑の雹除け
令和三年一月三一日


疫病感染予防の観点から、奉納される当日の作業見学は遠慮し、設置された現場を取材しに行って来た。資料によると、一月第三日曜日に設置されると書いてある。取材当日の状態を見ると、竹の葉は青みが残り、杉の葉はやや枯れており、資料通り第三日曜日だろうか?

◆雹除け【ヒョウヨケ】
雹(ひょう)は夏の発達した積乱雲の中で発生する5ミリ以上の氷の塊で、農作物や人畜に被害を与えます。こうした自然災害もまた、悪霊や鬼などがもたらすと考えられ、関東各地で「雹嵐除け」「雹まつり」などが、四月を中心に行われてきました。市域では一月に、神社での新年最初の縁日や会合で実施されます。小櫃川上流域では主に「雹除け」の名で、三ヵ所で伝承されています。雹除けは、酒樽(さかだる)に見立てた藁の作り物に杉葉をさし、竹の先に刺して屋外に立てます。三地区で、名称や形、設置場所や意味合いなどが多少違っていますが、道切りの意味を伴っているものが見られます。高水では、作り物を堂に設置すると同時に、綱を村境に設置し、綱は道切りの意味で行うといいます。久留里大和田では作り物自体を村境に設置します。この作り物を伴う雹除けが確認されているのは、旧川越藩の上総分領の範囲です。《久留里城址資料館 令和二年度企画展「疫病ときみつの信仰 −道切りを中心に−」》

※駐車について
坂畑自治会館に駐車可能です。

奉納日:一月 第三日曜日
伝承地:千葉県君津市坂畑86 坂畑自治会館