房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

白間津のオオマチ'19 〜本祭〜

房総半島の東南端に位置する白間津は、戸数二三〇余戸の半農半漁の村である。この地区には、満四年目毎に行われる地域を挙げての祭りがあり、オオマチ(大祭)と呼ばれる。この祭りは、白間津の氏神日枝神社の祭礼と、日天・月天を象った一対のオオノボリを曳くオオナワタシと呼ばれる行事とからなる。祭りの期日は、かつては旧暦六月一四〜一六日の三日間であったが、現在は七月第四金土日となった。初日をヨミヤまたはヨイマツリといい、中日はナカビまたはホンマチといい日枝神社のお浜下りと、午後にオオナワタシの行事が行われる。最終日はアトマチまたはオノボリ・オカエリなどといい、日枝神社の神輿が還御する。この祭りには、ササラ踊り・トヒイライ・エンヤボウ・酒樽萬燈などの芸能が奉納される。それぞれの芸能の担い手は、時代によって若干の年齢の変動はあるものの、性と年齢による明確な区別があり、この祭りを特色づけるものとなっている。なかでも少年二人が努めるナカダチ役は注目される。これは身につける飾りからニッテン・ガッテンとも呼ばれ、祭りの期間中はササラ踊りの中心となるとともに、祭典時には神座の傍らに侍し、参加者の拝礼を受けるなど、神に擬した扱いを受けるのである。ナカダチは、十二歳になった氏子の少年から、学業に優れ、両親や家族が健康で、身の回りの世話のできる老人がいる家の長男が選ばれる。ナカダチは祭りが終わるまで、五〇日に及ぶ厳しい精進潔斎と別火の生活を過ごすほか、この期間毎日未明に起き、裸足で海岸に行って潮水のかかった砂を採り、神社に供える。これをショゴリトリまたはコリをホゴスなどといい、これらの習俗は現在も固く守られている。オオナワタシは、二本の幟を太綱で、大勢の青年が仮宮めざして競い曳く、勇壮な行事である。オオナワタシに曳かれる幟をオオノボリといい、金曜日早朝に神社の参道に立て、土曜日早朝にオオナワタシの会場に移した後、根元を二〇俵の土俵で固め、カジボウという二本の棒で左右を固定しておく。かつては曳いている時間の遅速で一年を占ったり、その倒れ方で作柄を占った。長く曳けば曳くほどよい年が来るといい、日天を陸、月天を海とする意識があって、日天が先に倒れると日照りに、月天が先に倒れるとアマドシ(雨年)になるとか時化が来るとかいった。

白間津のオオマチ(本祭)
令和元年七月二十日 当日次第


05:30 会員集合(神社)、オオナワタシの幟(日天・月天)を浜に移す
08:30 各宿集合(トヒイライ、エンヤボウ、ささら)、酒樽萬燈は神社に集合
08:50 神社に向け、行列(トヒイライ、エンヤボウ、ささら)
09:30 祭典執行(仲立は、拝殿へ)
10:30 神社から、仮宮に向け御浜下り「神幸の儀」出発
      途中、振込みを三回行う。注意:ささらは次の二場所
      甚四郎前(二回目のきりまで)
      浜の凱旋門前(一回目のきりまで)
12:00 仮宮での祭典(仲立は、拝殿へ) 終了後解散
12:30 直会の義(コミュニティ集会所)
14:30 各宿集合(トヒイライ、エンヤボウ、ささら)、酒樽萬燈は海岸道路へ
14:50 凱旋門集合(トヒイライ、エンヤボウ、ささら)
15:00 凱旋門から、オオナワタシ会場まで行列
15:05 オオナワタシ会場にて、奉納(トヒイライ、エンヤボウ、ささら)
      ささら振込み(一回目か二回目のきりまで)
      終了後、ささらは行列にて「ささら宿」に移動
15:30 オオナワタシ開始(海岸道路にて)
15:30 ささら宿「安兵衛のもてなし」
      ささら振込み(一回目のきりまで)
      土足で座敷に上がり「牛若踊り、白間津踊り」奉納、休憩
16:00 オオナワタシ終了後、日天・月天幟を仮宮前台に立てる
16:50 ささら宿から仮宮へ行列で移動、酒樽萬燈は弁天様前に集合
17:20 仮宮前にて、トヒイライ、エンヤボウ、ささら、酒樽萬燈開始
17:40 凱旋門で振込み(一回目のきりまで)
      仮宮振込み
      小切小踊り(外山)  終了後、ござ敷き
      山伏踊り
      牛若踊り
      扇踊り(六角踊り)  終了後、襷がけ
      綾踊り       終了後、ござ片付け
      終了後、行列でささら宿へ
      到着後、二列で振込み(一回目のきりまで)
      解散
19:00 大祭行事終了
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宵 本 後 宵 本 後 宵 本 後 宵 本 後 中止

※このページ上の画像は二〇一九年七月二十日(本祭)に撮影された物です。

奉納日:次回は二〇二三年七月二一〜二三日 第三or四金土日
伝承地:千葉県南房総市千倉町白間津335 日枝神社 白間津地区全域