房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

妙楽寺 八日祭大護摩法要'17

◎上総妙楽寺概観
国鉄外房線上総一宮駅から大多喜町へ向かう県道を車で約二十分走ると、右手に原始林の様にうっそうと繁る森が日吉森です。苔むす参道を登れば、今は無き梵鐘を吊る鐘楼と朱に染まる本堂が目に入ります。ひときわ壮観に思えるのは、深山幽谷の地であるからでしょう。本堂正面には、漏れる薄光に浮かぶかのように、本尊大日如来坐像が安置され、遠く八百年にもおよぶ信仰の重さを、荘厳な姿によって、見る者に感動か与えます。本堂に残る他の像も同時代の作と考えられていることから、まさに藤原仏の宝庫といえましょう。寺は嘉祥年中に慈覚大師の創建と伝え、中世には日吉神社の勧請によって、山王信仰・修験の霊場として、東国の仏教文化の一大拠点となっていたと考えられます。近世においでは、火災や廃仏毀釈という不幸がありましたが、檀信徒の熱い比護のもとに、修複・整備が行なわれた結果、現在、本尊大日如来坐像は国の重要文化財に、不動明王立像・毘沙門天立像二体は千葉県指定有形文化財、妙楽寺と日吉神社を包みこむ森は千葉県指定天然記念物に、そして、日吉神社本殿は睦沢町指定有形文化財として厚く保護・管理されています。妙楽寺を中心とした一山は、自然と歴史が良好な環境の上に存在する郷土環境保全地域として、地域住民に親しまれ続けるでしょう。

◎木造大日如来坐像(重文)
本尊大日如来坐像は胎蔵界の丈六仏で、県内の古彫刻坐像として最も大きく、東日本においても、珍しく大きな坐像です。ふくよかな顔だち、流麗な表文は平安時代後期の中央様式を思わせるが、太い腕、豊かな胸など、黒漆の堂々たる重量感は、東国地方の力強いイメージを見る者に与えます。昭和二十二年の解体修理によって胎内より発見された梵字の墨書銘は、火界呪と慈救呪で、仏像製作期に書かれたものでしょう。光背は飛天光背で、円相部と光脚部は造像時、身光部二体の如来像と、大日、音声菩薩を配した周辺部は鎌倉時代の補作と考えられています。像高二七九センチ 光背高三八〇センチ カヤ材、一木造、漆白、彫眼

妙楽寺 八日祭大護摩法要

◎撮影について
毎年二月第一日曜日の御開帳期間中は、堂内の内陣へ自由に入り撮影可能です。ストロボ撮影も出来ますが、法要中はストロボ発光による撮影は禁止となります。また、駐車についてはトイレ付きの駐車場が完備されていますが、参拝者が大勢になると臨時駐車場へ誘導されます。御開帳中の境内では甘酒の接待もあり、庫裡(僧房)も参拝者の休憩所として開放されています。

奉納日:二月 第一日曜日 09:00-16:00
伝承地:千葉県長生郡睦沢町妙楽寺500 東岳山妙楽寺(天台宗)