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2014 |
◎三原地域の綱吊り
和田町の三原地域(上三原・中三原・下三原)の綱吊りは、三つの呪物で構成されている。
また、綱の上部には「杉」と「炭」が付けられている。災いが“過ぎました、済みました”の意味である。
【藁蛇】蛇は村へ入ってくる「災い・ケガレ」を追い払ってもらおうとするもの。
【棧俵】半分の桟俵(さんだわら)は、流行病・疫病(疱瘡・麻疹)を防止する役割である。辻や村境に捨てたり川に流す風習である。
【草鞋】蛇と供に吊るされている、草鞋(わらじ)は片方だけしか作られていない。手ぶらで疫病神を帰すのも悪いから草鞋をお使いください。
【束子】タワシは村へ入ってくる、ケガレを落とそうとする意味かも知れない。《下三原》
◎村絵図の世界 −江戸時代の村を歩く−
村境あるいは集落の出入口にあたる道沿いに行われる、いわゆる辻切りの習俗である。自分たちの住む村と外の世界を区切る場にワラで作った種々の形象物を下げ、外界から悪霊・悪疫が村に入ることを防ぐという。安房地方では多くはジャ(蛇)・サンダワラ(棧俵)・わらじ(草鞋)・ゾウリ(草履)・サカダル(酒樽)・タワシ(束子)・サカバヤシ(酒林)などを組み合わせて下げるところが多い。外から村へ入る者にとって、そこは村への入り口である。《企画展図録
1988.10.08〜11.27 館山市立博物館》
和田町の大蛇 〜三原地域〜
Nikon D800 + AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED
海岸部の和田浦・柴地域とは違って、こちらでは吊り下げ型である。
藁蛇を作る時期は確認していないが、蛇の状態からすると、一月下旬から二月上旬頃に作られたのだろうか。
※撮影したのは、2月22日で、中三原の切通しの綱吊りは比較的に状態が良かった。