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2014 |
毎年正月第二日曜日に行われる髭撫祭は、約八〇〇年前の一二一四年(建保二年)に始められたと伝えられる伝統ある神事であり、大倉村の村中を氏族ごと一八組に分け、毎年交代で二組ずつ、祭当番と請当番が奉仕する年番の引継ぎの行事です。祭典では、神前の正面に鶴・亀遊ぶ蓬莱山を飾って神様をお迎えし、紋付き羽繊袴に威儀を正した両当番が東西に分かれ、二人ずつ正座して酒杯を飲み干し、酒豪を競います。これは「七引き合いの杯事」と呼ばれ、両当番を七組に分かち、一組目から順に、一、三、五、七、七、五、一杯の定数の酒杯を飲み干すことになっています。そして、興が乗じると、祭当番が髭を撫で、その定められた杯数を超えて、髭のない請当番にさらに酒をすすめます。つまり、祭当番が一回髭を撫でると各組の定まった杯数に一杯が新たに加わります。一方、請当番が物足りないとして髭を撫でるしぐさをすると「逆撫で」といって、祭当番に対して罰の意味も加わり、三杯の追加となります。当祭典が地元で「ひげなでさんばい」とも呼ばれているのはこの逆撫でに由来します。この髭を撫でるあたりにこそ、当祭典の妙味があり、「髭撫祭」の名の所以なのです。一杯に二合の酒が入る杯を、多いときには二〇杯以上飲み干す組もあります。酒杯の隣の地面に刺された竹串は、酒の肴で、昔から利根川周辺でよく獲れる子鮒と鮭の切り身が刺してあります。これを食べると一年の無病息災があると言われています。両当番が見事に酒杯を飲み干す度に、勇者をほめはやす鬨の声が湧き上がり、側高山は五穀豊穣、子孫繁栄の祈念に包まれます。
髭撫祭
Nikon D800 + AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)
酒飲みオビシャで報道メディアが季節の行事として取り上げる機会も多く、見学者・カメラマンも大勢集まってくる。
※駐車は路肩になります