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2013 | 2012 |
千倉町久保区に昔から伝わる伝統行事「おびしゃ」の中で、神楽舞として獅子舞が披露され、現在まで伝承されている。昔は、一月十五〜十七日の三日間行い、最初の二日間は、「毎戸舞」といい、区長宅を皮切りに全戸を回り、家内安全、無病息災、厄除けなどを祈願。最終日の十七日は、四組輪番制で当家(とうや)で盛大に「おびしゃ」を行ったという。その後、時代の流れで若者が減少し、十年ほど前に一度中断したが、青年会の有志が立ち上がり、二〇〇八年に同行事を復活。当家制はなくなり、神社や集会所で行われるようになった。獅子頭は、同区に大小一つずつあり、このうち大きい方のあご部分が壊れ、歯も抜けてしまったため、同町白子の神仏師、石井一良氏に修復を依頼した。修復は、まず獅子頭を水で洗い、数か月陰干し、破損した部分の木地を修理して補強し、漆と糊を混ぜたもの塗る布着せを施した。この後、との粉で下塗りをした後表面をとぎ、金箔や黒の漆を塗り重ねて仕上げた。こうした一連の修復作業が二〇一〇年十二月に完了した。修復にあたった石井氏は「獅子頭は目が命。この獅子頭の目は、どの角度から見ても、見ている人の方向を向いており、バランスがいい。また額の部分に髪の毛が施されているのが、他では見らない。これだけの面構えをした獅子頭は、南房総市にはないのでは」と、その制作技術の高さに感心。さらに「こうした素晴らしい伝統文化を後世に伝えて欲しく、大事に使ってもらいたい」と話した。当日は、午後一時から神社で祭典が行われ、十八時から青年有志らが、約四十分にわたり、獅子舞を奉納する。同区や青年会では、子ども用に福袋も用意。地域住民のほか、一般の参加も歓迎している。
久保の春祈祷
Nikon D800 + AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED
十八時になると、久保コミュニティー集会所で直会を行っている役員・関係者を呼びに、入り口前でお囃子を奏でる。
神社までの道のりを集会所から神楽櫃を担ぎ、お囃子と共に歩いて向かう。
そして、鳥居前で小休憩し階段を上がって行く。
漆黒の闇の中で薄明かりに照らされて、獅子が区内の平穏と無病息災を祈祷します。
※撮影は拝殿に向かって左側からでは、山村地域の住民が見守る中の獅子舞が写せ、良い感じになる。右側からは神楽櫃と一緒に撮影できるが、地域住民の姿はない。