房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

山桑のつなかけ神事'13

朝8時、凍てつく寒さの中、山桑の五地区の氏子衆30人が集まり、半日がかりで、全長10メートル、重さ70キロもの大蛇を形どった大注連縄を作り上げ奉納します。雨乞いの伝説を伴った蛇です。江戸時代、4、5代将軍の頃、むらの人達は鎮守様である稲荷神社の前で雨乞いをしていました。すると21日めに突然雷が境内の木に落ち、火柱と共に竜が立ち上っていくのが見えました。かと思うと雨が降り出し、むらは救われたといいます。そこで、竜に感謝し、記憶に止めておくために、毎年、年の初めにあたって竜を作るようになったというのです。午前8時に当番の家(現在は神社)に集まって蛇は作られ始めます。山桑は五組に分かれていて、当番は順番にまわります。幾つもの藁の小束を荒縄できつく巻いて一本の綱とし、それを撚っていくのが特徴です。途中、二ヶ所にお団子のようなものがありますが、それは竜の足だということです。出来上がると稲荷神社でお祓いをしてもらいますが、以前は、その間に子供達が綱を隠してしまったそうです。そして、大人達が見つけるのが遅ければ遅いほど豊作になるといわれていました。注連縄作りは、当番区の家々から持ち寄った稲ワラを4、5本づつの稲束にまとめ、周囲30センチほどの大縄を二ない、次いで拝殿の梁に吊り下げ寄り合わせて大蛇の形を作ります。大蛇には、頭に2本の突起があり、胴は七五三の割合で区切るように途中二ヶ所で結び目が作られています。出来上がった大蛇は、神社拝殿に幕「一旒」とともに飾り、奉納儀式の後、鳥居の前に張り渡されました。この幕「一旒」は1777(安永六)年に作られ二三〇年が経過。縦2.47メートル、横10メートルの藍染友禅の方面染め。鶴、松、亀、竹が描かれ、優れた技法によることから市の有形文化財に指定されています。鳥居前に張り渡された大注連縄には、五穀豊穣を願う木札と十二支の木札が取り付けられ、最後に神官の合図で手締めが行われました。

山桑のつなかけ神事

Nikon D800 + AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED + AF-S NIKKOR 16-35mm F4G ED VR

※駐車は神社前に数台、もしくは山桑運動公園の駐車場を利用する。

奉納日:毎年1月 第1日曜日 8:00〜14:00
伝承地:千葉県匝瑳市山桑499 稲荷神社