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2012 | 2011 |
鹿野山北麓に位置する馬登には、古くから各神社の四季の祭に獅子神楽が奏されていたが、現在では四月六日の水神祭と、九月二九日の秋祭の折に、白山神社(上郷)、熊野神社(中組と下組に各一社)の社頭において演じられている。演奏は舞方と囃方に分れ、舞方は「前掛り」と「後掛り」の二人であるが、曲目によっては一人で舞うことがある。囃方は大太鼓一人、小太鼓二人、笛方数人、鉦一〜二人で構成され、これに神楽歌を唱う「唱方(うたいかた)」数人がつく。曲目には平神楽(ひらかぐら)を初めとして、玉遊び、剣の舞、岡崎等があり、いずれも江戸時代伊勢御師から伝播した「太神楽(だいかぐら)系」といわれているが、江戸期(年代不詳)に俵田白山神社(田原明神)から伝授されたものと伝えられる。また、神楽舞の前後に祭りばやしが演奏されるが、この曲は近隣のものとほぼ同じで(1)新ばやし(ぶっこみ)、(2)宮昇殿、(3)神田丸、(4)道中ばやし(ばかばやし)が奏され、獅子舞の演技を一層ひきたてる役割を果たしている。この獅子神楽は、古い時代そのままの形式を伝える素朴な神楽として貴重な存在であり、地元では昭和45年指定直後から保存会を組織して、後継者の育成に力を注いでいる。
馬登の獅子神楽
周囲の風景は、小さな棚田が幾つかあるが、耕作放棄されている光景は悲しい。
青空に刈取りが終わった田と山々の緑が映える、牧歌的な里山である。
近年は少子高齢化で演者も少なくなり、長く伝えられている奉納舞を伝承するのも大変のようだ。
※馬登(まのぼり)