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2011 | 2009 | 2005 |
千倉町の忽戸地区と平磯地区は、いずれも太平洋に面した漁村だが、どちらも同様に少年たちによる三番叟を伝えている。忽戸は荒磯魚見根神社で、平磯は諏訪神社でそれぞれ演じられるが、両社とも毎年七月の第二土日に祭礼を行っていて、そのときに三番叟が奉納される。三番叟は、老翁の姿をした神が天下泰平・五穀豊穣を祝って舞う、翁の芸能の一種とされている。能などでは、千歳・翁・三番叟の三者の舞を組み合わせて「式三番」ともいうが、千歳は稚児の役で面をつけず、翁は白色の尉面、三番叟は黒色の尉面を顔に当てて舞うのが一般的である。忽戸では、はじめ翁、次に三番叟、そして三番叟と千歳の順に舞う。平磯では、はじめ千歳、次に翁、そして尉、尉と千歳、最後に尉の順に演じられる。いずれも千歳役は面を付けない。対して、翁と三番叟・尉は面を付けるが、当地では特に面のことを御化身と呼んでいて、非常に神聖なものである。囃子方は、大鼓・小鼓・笛の楽器を用い、熟練者が行う。また、後見役がいて、厳粛な所作で面を少年に被せたり、舞の進行を指揮したりする。かつて、三番叟を演じる少年たちは、一週間前から精進潔斎し、穢れを祓って当日にのぞんだという。掛け声が入り、古語からなる台詞を舞い手同士が掛け合うなど、古態を残す貴重な民俗芸能である。《千葉県庁 教育振興部文化財課 指定文化財班》
平磯三番叟
Nikon D300 + AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G(IF) + SpeedLight SB-800
千葉県南部で三番叟が見られるのは、忽戸・平磯・加茂の三ヶ所のみ。
昔は農閑期などに村歌舞伎なども盛況に行なわれていただろう、忽戸三番叟の芝居小屋は風格もあり立派である。
平磯三番叟は化粧をした役者の子供達が白熱の演技を披露する。
大人たちの掛声も大きく、忽戸に比べて迫力がある。