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2011 | 2010 |
茂原市の茂原昌平町のみろく踊りは、毎年一月八日の稲荷神社のオビシャの祭礼に演じられる。「チョコロコマンネン」「めのこ踊り」などとも呼ばれる。午前中にお水かけという火難除けの行事が行われ、午後にみろく踊りが稲荷神社から出て町内を踊り巡る。踊り手は稲荷神社氏子の成年男性で、烏帽子に自張姿であるが、採物は持たない。踊り手と同じ姿の囃し手が数名、団扇太鼓を叩く。これ以外に歌い手が一名、神官と呼ばれる役が一名で、神官は本来神職の役であるが、現在は氏子のうち一名が務めている。神官は榊の枝を持ち、歌い手は日の丸の扇子を持つ。芸態は現在ではきわめて簡略化されている。踊りの場に着くと、踊り手は一列に並んで座る。歌い手と神官がかけあいで口上を述べると、踊り手・囃し手が「めでめでめでたい おおきにめでたい」と歌いながら、両手を上げ、一歩一歩左右に跳ねるように前方に進んでいく。これを繰り返すのみである。この芸態だけをみると、鹿島踊・弥勒踊との関係は名称以外ほとんど見いだせないが、稲荷神社には、明治四二(一九〇九)年に書かれた、この踊りで歌われていたとされる歌詞が残されている。資料六に口上とともにこれを掲載しておくが、やはり鹿島踊歌・弥勒歌系の歌であり、とくに千葉県の他の事例では見られないが、相模湾西岸の鹿島踊で歌われることのある「鎌倉の御所の御庭で」で始まる一連の句が含まれているのが興味深い。《ミノコオドリの系譜 -鹿嶋踊・弥勒踊の原像から距離をおいて- 東京文化財研究所 無形文化遺産部》
茂原昌平町のみろく踊り
ミロクオドリ開始時刻、午後四時、神社から三十分ほど区内を巡る、一列に踊り手が並ぶ県内では珍しい祭事だ。ミノコオドリ系の祭事でかなり簡略化されていると思われる、本来は辻などの場所で円を描いて踊ったのではないのだろうか。撮影のチャンスは八回のみしかない、出発地点の稲荷神社で一回舞い区内で七回ほど舞う。