房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

広岡鹿ノ畑の鹿島人形'09

君津市 広岡鹿ノ畑(かのばたけ)地区
千葉県君津市小櫃川流域の多くの集落では古くから毎年秋に鹿島人形一体を麦わらで作って集落の入り口や氏神様にまつった。しかし昨今では僅か二、三ヶ所のみ残っているだけにすぎない。当地方の言い伝えによると、東国の鎮護神である鹿島大神の霊験あらたかな神威を借りて悪疫退散、無病息災、悪霊阻止、盗賊進入防止を願い更に五穀豊穣、家内安泰を祈願する鹿島信仰によると伝えられている。当鹿ノ畑近隣では延宝年間に山王信仰と集合した庚申塔が前期同様の願いをこめて各集落の入り口に氏神として建立されており、そこに鹿島人形をまつった。昔は麦わらで作ったが、麦作がすたれて今では稲わらで毎戸が持ち寄って、やや等身大の男女二対を作り男は槍、女は薙刀を片手に持つ。当集落近隣では毎年九月九日に作ってまつった。当鹿ノ畑集落では九月九日は早生稲の収穫期最中につき、昭和六一年から十月九日に変更した。この日を「人形だんご」と呼んで毎戸では団子を作り鹿島様の体内に供え、他家の供えた団子と交換して持ち帰り食べると無病息災、家運安泰と言われている。今では団子に代わってお菓子類が使用されている。製作者一同は人形の奉納が終えると宴を開いて歓談する。

広岡鹿ノ畑の鹿島人形

君津地域で現在、鹿島人形が作られている地域は四ヶ所のみである。
【袖ケ浦市】 阿部
【君津市】 大阪鴫畑・広岡鹿ノ畑・俵田第一部
これらの地域以外にかつては方々に鹿島人形が伝えられていた、だが時代の変化と共に消えていった。

“広岡鹿ノ畑”集落の鹿島人形は完成後数日で燃やします。
完成品を見られる期間は僅かしかありません。

また、以前は現在の場所ではなく道の曲がり角あたりの少し高台に安置されていました。

既に廃絶してしまった、君津市高水地区では、完成後の鹿島人形を子供達がぶつけ合いながら小櫃川に運び川に流します。
昭和四十年頃まで行事が続いていましたが、廃絶してしまって今では見る事が出来なくなってしまいました。

奉納日:十月 上旬日曜日 8:00-11:00 / 完成後、数日で天気の良い日に燃やす
伝承地:千葉県君津市広岡鹿ノ畑 稲鹿公会堂 / 庚申塔