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2009 |
獅子舞の系統には、大きく分けて二つの流れがあります。一つは伊勢太神楽系の二人立ち獅子舞で、大きな獅子頭に大きな布をっけて二人で舞うものです。昔、正月に各家にまわってきた獅子舞のことです。もう一つの流れが、親獅子・中獅子・女獅子の三匹で舞う形式の風流系三匹獅子舞で、三人がそれぞれさほど大きくない獅子頭をかぶって、腹に小型の太鼓をつけて打ち鳴らしながら舞うものです。この獅子舞を風流の獅子舞とか、三匹獅子舞、羯鼓舞などとよばれています。風流系の三匹獅子舞は、関東から東北地方まで広く分布しています。市内の獅子舞は、この風流系のものです。今でこそ、勝田と佐山の二地区でしか伝承されていませんが、かつては市内9地区で舞わるほど獅子舞が盛んな地域でした。各地区の獅子には愛称があり、吉橋の獅子はクーダレシシ(糞たれ獅子)、桑橋の獅子はエビジシ(海老獅子)、平戸と島田の獅子はともに頭を軽くするため頭を包むところが竹寵状に編んであるのでカゴジシ(寵獅子)、麦丸の獅子はナマズジシ(鯰獅子)などといわれていました。佐山地区では、ヒガンジシ(彼岸獅子)といって毎年9月23日の彼岸の中日に舞われます。地区の青年館で獅子の飾りつけをして熱田神社に向かいます。神社で神事が行われた後、境内で「オーガカリ」と「カコイ」を舞います。その後、ミチブエを吹きながら屋号オモテの家の庭でオーガカリを舞い(近年、負担が大きいことなどから省略されるようになった)、午後4時すぎにオモテ家を出て妙福寺に行き、オーガカリとカコイを舞って7時過ぎに終了します。翌日は午後4時から「ハナナガシ」と称して妙福寺境内でオーガカリとカコイを舞い、悪疫退散・五穀豊穣を獅子に託した獅子舞は終わります。
佐山の獅子舞
八千代市に現在も残る獅子舞(羯鼓舞)は「勝田」と「佐山」地域のみ。かつては10ヶ所ほどの地域で舞われていた羯鼓舞も時代の変化と共に消えていった。「佐山の獅子舞」は初日に“開始から最後まで一日がかり”で見て行かないと“謡”が完全に聞く事ができません。今回は、同日に行われる印西市の「いなざき獅子舞」も合わせて撮影することを目的にしていたため、「佐山の獅子舞」の“謡”は「序」のオオガカリの所しか聞く事ができませんでした。
※「八千代市文化伝承館」では市内の郷土芸能・民俗行事の資料(無料)が手に入ります。