房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

大坂の神楽'15

里の夏祭り 平成廿七年八月十六日 =浅間神社祭典会=
◎お祭り:鎮守の森から、笛や太鼓の音が聞こえてくる頃になると、持ちにまったお祭りです。「夏祭りは八月十六日だ」。朝日が昇り、日がさしてくる頃になると、おばだ(姥田)の方から太鼓の音が聞こえてくる。祭り囃が聞こえると、お祭り気分がわいてくる。子どもたちが、富士見代に集まるころ、笛や太鼓の囃子と一緒に神楽櫃(かぐらびつ)を担いた祭りの若い衆が、姥田(うばだ=おばだ)に集合する。姥田の「祭りの幟」のあたりから神楽坂、上の代、そして富士見代へと、「囃子太鼓」(入れ込み)を叩きながら神楽の行列。お囃子は、勇壮で賑やかな「馬鹿囃」。お祭り気分は高まってくる。おはやしが一通り終わると、浅問神社の拝殿で、神事が行われます。神事は宮司により行われます。宮司による神事の次は、いよいよ神楽の奉納です。お祭りの雰囲気は、いよいよ盛り上がってきます。祭りの若い衆によって運ばれた獅子頭は、舞殿中央前向きに置かれます。拝殿に獅子頭が置かれ、獅子舞方三人、小太鼓に大太鼓が並び、はっぴ(しるしばんてん)を着た囃子方が拝殿にのぼります。囃子方は、笛二人、大太鼓一人、小太鼓二人、神楽の舞は、幼児期の表現「おのう」、「前かがり」に始まり、踊り手が幣を持って舞う「おん幣の舞」、そして「鈴の舞」、更に少年期を表現する「くるい」、最後に「おくり」を演じて終了となる。この後は、賑やかにお囃子。「ばかばやし」「こぼやし」などを楽しみます。神楽の演目には、まえかがり、おんべの舞、鈴の舞、くるいなどがある。◎昔を思い出して:八月十六日は花嫁さんのお参りもあり、花嫁祭りとも言った。お祭りの日、参道は、露店商のテントで、つながっていた。お祭りの会場とその周辺は、大勢の大人と子供で、それはそれは賑やか。露店は、オモチヤ、お面、飴など駄菓子、かき氷は大人気。子どもたちは、祭りの前、落ちた柿の実を拾っては、柿渋屋さんにもっていき、五銭(0.05円)、十銭と買ってもらい、祭りのお小遣いとした。《当日配布資料》

大坂の神楽


◎神楽の演目
神楽の演目には、まえかがり、おんべの舞、鈴の舞、くるいなどがある。
まえかがり:一人で歩けない幼児期をあらわしたもので、手には何も持たない。
おんべの舞:舞手がご幣を持って舞う。周りを払い清めるよう。
鈴 の 舞:手に鈴を持って舞う。ここで神楽歌が挿入される。
く る い:血気盛んな少年期を表現する。ここで獅子は二人たちとなり、前獅子は獅子頭を
      両手で操り、下から上へ、左右に大きく時には激しく頭を動かし、クライマック
      スでは獅子が暴れる様子を演ずる。

◎神楽歌
  オーエ
一 千早振る 天の岩戸を ァ コリャ
       押し開き ァ ズイトズイト
  オーエ
二 いざや神楽を ァ コリャ
        舞いらする ァ ズイトズイト
  オーエ
三 神楽と書いたる 二文字は ァ コリャ
   神楽しむと ァ コリャ 書くぞかし ァ ズイトズイト
  オーエ
四 神も楽しむ ァ コリャ
      御神楽なり ァ ズイトズイト
  オーエ
五 かほど目出度き 折からは ァ コリャ
     みな白妙の 御幣をもって
              太平楽世と

◎浅間神社
大坂の浅問(あさま)神社は、一三四六年(貞和二年)大坂富士山(おさかのふじやま)に木花開耶姫・木花之佐久夜昆売(このはなのさくやひめ)を祭神としてまつられました。木花開耶姫は、日本神話にみえる女神で、大山祇神(おおやまつみのかみ)の娘。天孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の妃、火藍降命(ほのすそりのみこと)彦火火出見専(ひこほほでみのみこと)、火明命(ほのあかりのみこと)の母といわれます。富士山の神とされ、浅間神社に祀られています。

奉納日:毎年八月一六日 10:00-式典 10:30-奉納舞 11:15-直会
伝承地:千葉県君津市大坂638 浅間神社(岩田寺境内)