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2006 |
田の草地蔵の物語は富津市の八田沼に伝わる民話です。
あらすじは、病気で寝込んでしまった農民が信仰している地蔵尊に、「1日も早く仕事ができるように、病気をなおしてください。早く草を刈らないと稲がだめになってしまいます」と祈りました。見知らぬ旅僧が病気で寝込んでしまった農民のある家におとずれ、「心配しなくてもよい。田の草はわしが取ってやるから安心して病気をなおしなさい」と言って、どこかへ立ち去って行きました。病気が治り田を見回ると草は綺麗に刈り取られ、稲はすくすくと育っていました。地蔵尊へお礼参りに行くと地蔵様の手や足は泥で汚れています。集まった農民は一瞬無言になり、誰言う事なく地蔵様が草を取ったと思いました。
背後には小高い山を抱え、八田沼の田を見守る地蔵尊が奉られている。
毎月24日が「田の草地蔵尊」の縁日だ。
縁日は地蔵堂前にテントが並び、地元で生産された新鮮な食材を使った、加工品などが販売されています。
今も根強い信仰がある
地蔵尊はどうやら木彫りのようだ、人の背丈ほどある。
堂内はロウソクの炎が燈され、さほど広くも無い境内は、参拝の人達で賑合い、線香の煙でいぶされている。
今も根強い地蔵尊信仰が実感できる。堂内では「お守り」が販売されている。
地蔵堂の縁側に置かれていた、カルタの拡大コピー
「願い事 田の草地蔵 月参り」
田の草地蔵様、今年も稲はすくすくと元気に育っております。
これから梅雨に入り長い雨が降り続きます。
暑い真夏を乗り越えて、頭を垂らす豊穣を願っております。
これからも、八田沼の集落をお守りくだせぇ…
八田沼の通称「田の草地蔵堂」に安置される地蔵菩薩像は、「宝珠錫杖(ほうじゅしゃくじょう)地蔵」といわれる檜の寄木造りで、木造の蓮華座に立ち、像高は180cmの長身である。光背は輪光背で、白毫(びゃくごう)は水晶、眼は彫眼であり、右手に錫杖をもち、左手に宝珠を持つ形態である。肩の張りは強いが、胴まわりの衣文にはやや固定化した表現が見られる。台座には墨書があり、室町後期の嘉吉2年(1442)に高橋時光夫妻が施主となって造立されたことが記される。昭和58年市指定有形文化財。