房総の祭事記 〜千葉の郷土芸能と民俗行事〜 モドル ホーム

田の草地蔵尊縁日'06

田の草地蔵の物語は富津市の八田沼に伝わる民話です。
あらすじは、病気で寝込んでしまった農民が信仰している地蔵尊に、「1日も早く仕事ができるように、病気をなおしてください。早く草を刈らないと稲がだめになってしまいます」と祈りました。見知らぬ旅僧が病気で寝込んでしまった農民のある家におとずれ、「心配しなくてもよい。田の草はわしが取ってやるから安心して病気をなおしなさい」と言って、どこかへ立ち去って行きました。病気が治り田を見回ると草は綺麗に刈り取られ、稲はすくすくと育っていました。地蔵尊へお礼参りに行くと地蔵様の手や足は泥で汚れています。集まった農民は一瞬無言になり、誰言う事なく地蔵様が草を取ったと思いました。

八田沼の通称「田の草地蔵堂」に安置される地蔵菩薩像は、「宝珠錫杖(ほうじゅしゃくじょう)地蔵」といわれる檜の寄木造りで、木造の蓮華座に立ち、像高は180cmの長身である。光背は輪光背で、白毫(びゃくごう)は水晶、眼は彫眼であり、右手に錫杖をもち、左手に宝珠を持つ形態である。肩の張りは強いが、胴まわりの衣文にはやや固定化した表現が見られる。台座には墨書があり、室町後期の嘉吉2年(1442)に高橋時光夫妻が施主となって造立されたことが記される。昭和58年市指定有形文化財。

奉納日:毎月24日
伝承地:千葉県富津市八田沼 田の草地蔵堂